西野瑠美子さん講演会「慰安婦」問題に取り組んで〜「慰安婦」をどう記憶していくのか〜

フォーラムでは昨年の11月27日、西野瑠美子さん(VAWW−NETジャパン共同代表)をお招きして国分寺労政会館で講演会を開催しました。著書『戦場の「慰安婦」』でも書かれた朴永心さんについて講演していただきました。

1939年、17歳の時に騙されて朝鮮から連行され、南京で始まった朴さんの「慰安婦」生活は、その後連れて行かれた中国の奥地、拉孟(ラモウ)で日本の敗戦を迎えるまで続きました。60余年を経て、朴さんは自身の受けた過酷な体験を証明するべく南京・拉孟への旅に出かけます。南京で元「慰安所」の階段を踏みしめ、過去を思い出して号泣する朴さん。反抗した罰として閉じ込められた小部屋までが当時そのままの姿であり、逃げ出すことすらできなかった女性達の苦悩が刻み付けられた建物は、その史実を記録するために保存が検討されています。

朴さんは2000年、女性国際戦犯法廷で証言するために来日しましたが、ホテルの部屋で浴衣を見て忌まわしい過去を思い出し、食事も喉を通らなくなってしまいました。朴さんは証言できなかったものの、この「慰安婦」問題を裁く民衆法廷では日本政府の賠償責任と天皇の有罪判決が言い渡され、元「慰安婦」の方たちの長年の無念を晴らす一助となったのです。

しかし、同戦犯法廷を取材したNHKの報道番組は放送直前になって大幅にカットされて判決内容には全く触れず、その改ざん過程で自民党議員の圧力があったことがこの間で明らかになりました。関係者は、今なお浴衣を見ただけで、日本の着物を無理やり着せられて日本人兵士の相手をさせられた記憶が生々しくよみがえる朴さんの苦しみを知るべきでしょう。日本政府による戦後補償の実現を急がなければなりません。 inserted by FC2 system